バロック弓って言われても・・・

 

 

      1.モダンの弓と、何が違うの?

バッハやヴィヴァルディなど、バロック時代に使われていたモデルを再現しており、弓先に向かって先細りの形をしています。

これは音の自然な形を表しているとも言われています。例えば、

鐘を打つと、そこから生まれた音は自然に消えていきますよね。

また、当時の音楽の概念に沿ったモデルともいえます。

バロック時代の音楽は「話す音楽」と表現されます。

ロマン派の時代へと移行していくにしたがって、メロディー志向が色濃くなり、

「歌う音楽」といったアプローチへと変わっていきます。そのため、

長いフレージングで弓先まで歌い込めるような形になっていったわけです。

ここで大切なことは、楽器の変遷は、時代を経て改良されていったというものではなく、

あくまでも、それぞれの時代の音楽概念や表現方法において、

それぞれにふさわしいものが存在していた、ということです。

 

そういった意味で、当時の楽器は、作品の洞察において多くのことを示唆してくれるでしょうし、

言い換えれば、それぞれのスタイル、概念の理解により、

弓の表現力を最大限に発揮することもできるでしょう。

           

 

 

2.どうやって選んだらいいの?

 

弓を持つ位置はモダン弓を持つときと同様に、フロッグに近いところで持っていただいて構いません。

かなり上のほうを持って演奏する人もいますが、これは弓のバランスや感触、もしくは演奏者の判断によるものでもあるので、一概には断定できませんし、いわゆるルールでもありません。

弓の反応も踏まえつつ、ご自身の持ちやすい場所を探していただければよいと思います。

 

留意点としては、モダン弓では、弓の真ん中あたりがいわゆるバランスの取れた場所ですが、

バロック弓においては、音作り、表現に一番適した場所は、真ん中から元よりに向かったところです。

現代奏法ほどの弓量を使う必要はなく細かいアーティキュレーションの表情を出しながら演奏していきますが、元よりのほうが、芯のある音と細かい表現に適しています。

したがって、真ん中から元での感触を参考にされるとよいかと思います。

また、将来的にガット弦での演奏を検討されている場合には、ぜひ、試奏の際にもガット弦でも試されておくことをお勧めいたします。

ご自身での判断が難しい場合は、ご相談に応じますので、私共のサポートをご利用ください。

 

3.どうやって使うの?

 

 弓の扱い方については、特にモダン弓と変わりありません。使用後は緩めて保管してください。

松脂についても、お好みの松脂を使用していただいて構いません。

近年バロック用の松脂も流通しており、特にガット弦での演奏をされる場合には、

引っ掛かりのよいバロックヴァイオリン用松脂はおすすめです。

ご購入後の毛替え、メンテナンスは当方で承っておりますのでご利用ください。

尚、他の製作家による弓は、状況によってはお受けできませんので、ご了承ください。